脳みその奥深くで眠っている外国語が出てくる時というのは…

私は22才から28才までドイツで勉強していたので、日常の話と自分の専門分野であれば、まぁ、今でも聞いたり読んだりして理解はできます。しかし、年に数回、ドイツの友だちと電話をするだけでは、発話力は落ちます。

言いたいことが出て来ない、舌が回らない……という感覚です。

数時間しゃべっているとなんとなく戻って来ます。そして、1週間以上滞在すると、かなり戻ります。

昨日、久々にベルリンに電話をかけました。

私の親愛なる友だちマリアは、今時、メールというものを使わないのです。スカイプやメッセンジャーなどもってのほか。パソコンとスマホをかたくなに拒否し続けた結果、いまだに電話か手紙でしか連絡が取れないという、天然記念物的、正直けっこう迷惑な人物なのです。

昔と違って、今は国際電話なんて使う人があまりいないので、安い値段でかけられるカードもなかなか手に入らないし、仮に手に入ったとしても、マリアのためだけに買うなんて、しゃくにさわるわけです。

基本的に、私が彼女の留守電にメッセージを入れ、家にいる日にちと時間を知らせ、マリアが折り返しかけてくれるのですが、問題は、たまたま彼女が家にいて、電話に出てしまう時。

電話代がめちゃくちゃ高いので、こちらはなるべく早く用件だけ話して電話を切りたい。ところが、私の親愛なるマリアちゃん、考え込むと返答が遅い……!!

「えーーーっとぉ、今日は午後から出かけるから、時間があるかどうか……」

「わかった。じゃ、マリア、任せるから。私、ここ数日は家にいるから。今日かけてくれてもいいし、数日中にけけてくれてもいいから。てきとうにして。じゃぁね。」

……

電話を切った後、私は、たった今、すらすらと自分の口から出て来た、かなり正確なドイツ語に唖然としました。こんな能力がまだ残っていたのか、と。しかし、この能力、切羽つまった状況下でのみ、発揮されるようです。唖然としている時には、もう、決して同じ内容を繰り返すことができないからです。それは例えば、10秒○○円の電話代がかかっている、というような状況です。

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