音楽療法と音楽教育は何が違う?-カタカナ譜に電子ピアノ、音楽療法に必要なものは柔軟性!-

「音楽療法と音楽教育は何が違うのですか?」
こういう質問をしばしば受けました。
音楽教育では、子どもが音楽的能力を身につけられるように、いろいろな工夫がされます。楽譜を読む能力、美しい音色と正しい音程を聞き分けられる耳、表情豊かな演奏をつくる力などです。最初からふつうの楽譜を読めるようになるために、カタカナ譜などは使いませんし、ピアノを習うなら電子ピアノではなく、アコースティックピアノ。できれば、歌や管楽器、弦楽器にも、触れる機会があるとよいでしょう。


良い音楽の先生は、子どもが音楽的能力を伸ばしてゆくうえで、必要なものは何か、できれば避けるべきものは何か、よく理解しています。決して高価な楽器ほどよいとか、高いレッスン料を払って名の知れた先生に習った方がよいという単純なことではありませんが、子どもにより有益な環境を与えようとすれば、どうしても「すべきこと」や「すべきでないこと」が出て来ます。これは、自然なことです。

一方で、音楽療法の目的は、クライアントが音楽を楽しむことにあります。
音楽の初心者にとってハードルとなるものは、なるべく取り除きます。楽譜を読むことは、子どもの頃から慣れていない人にとって高いハードルです。ですから、カタカナ譜や色楽譜を使って易しくします。


クライアントが手にする楽器は、もちろん、質の良いものに越したことはありません。
一方で、音楽療法士は、どんな楽器でも、たとえ壊れかけたギターであっても、その場にある楽器で、質の高い演奏ができなくてはなりません。グランドピアノでなくては良い演奏ができないならば、音楽療法士として働くことは無理です。コンサートホールのように静かな、音響のよい環境でしか演奏できないのであれば、音楽療法の現場では何もできません。

実際に音楽療法を行う場所には、ピアノはおろか、キーボードすらない、持ち込めない、ということがしばしばです。また、一人で子どものセッションを行う場合、音楽療法士が楽器に向かったとたん、完全に興味を失ってしまう子どもや、ずっと手をつないだままセッションをしなくてはならない子どものクライアントもいます。そうなったらもう、使えるものは声しかありません。歌だけでも、立派な音楽療法セッションが可能です

私は根っからの音楽療法士です。音楽教育をしろと言われても、おそらくできないと思います。


未知の楽器が目の前に現れたら、音楽の先生は、それが演奏に適当かどうか検討するかも知れません。音楽療法士は、何としてでもその楽器で美しい演奏をすることを考えます。
私は今まで、ライアーという、弦に直接触れて音を出す竪琴のような楽器を弾いていました。ところが、数週間前から、いきなり電子ピアノを弾き始めました。びっくりしている人、えーっと思っている人、きっといるでしょう。「電子音なんて体に悪い」と思っている人も。


今まで、私はライアーのための編曲や作曲をしてきました。今回、電子ピアノに転向した理由はまさに、もっとたくさんの人たちに音楽の喜びを味わってほしいからです。ライアーは高いですし、決して簡単な楽器ではありません。でも、ピアノなら、子どもの頃に習ったことがある人、誰も弾かなくなったピアノが家にある人はたくさんいるでしょう。

今さら音楽教育なんて歳でもないし、楽しくピアノが弾ければいい。
眉間にしわを寄せて難しい曲を練習するよりも、すぐに弾ける易しい曲を、余裕を持って、きれいに演奏してみたい。そんな人たちの夢を、私は叶えたいのです。


音楽教育を受けていた子どもの頃にも、大学の音楽科でピアノを専攻していた時ですら、分からなかったこと、「どうしたら素敵な演奏ができるのか」「どんな工夫をして曲を作れば、無理なく、多彩な音楽の世界を味わうことができるのか」。
ドイツで6年間生活し、音楽療法を学び、帰国してそれを実践してゆく中で、ようやく分かったこれらのことを活かして、みなさんが親しみやすい小さな曲を、たくさん作曲しようと思います。


そして、作曲した曲を、この7万円の素晴らしいRoland製電子ピアノで、ライアーに負けないくらい美しく、演奏してみたいのです。
音楽は楽器の中に眠っているのではなく、それを奏でる人間の心の中に眠っています。
癒しの音楽は、楽器から出て来るのではなく、演奏者の魂の、音楽の泉から湧いてくる、それを、証明してみたいのです。


私が購入した電子ピアノです^^
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コメント

  1. 市川友紀 より:

    音楽療法、素敵な世界ですね✨
    いつか私も実践してみたいと思いました。

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