楽曲分析に挑戦しました!-ブルグミュラー19番「アヴェマリア」

久々に楽曲分析に挑戦してみました~ ブルグミュラー19番「アヴェマリア」です。

楽曲の冒頭には、宗教的な敬虔さを表す「religioso」という指示が書かれている。これはまさに、曲全体を貫いている雰囲気である。三拍子の流れに乗って、慎ましやかに歩みを進めてゆくようなイメージの曲である。
主調はイ長調。A、B、A’、コーダから成る3部形式で、Bセクションではホ長調、続いてホ短調に転調している。Aセクション8小節、Bセクション8小節、A’セクションの8小節目がコーダへの接続部となっている。コーダは7小節間と長めである。
メロディは主和音の第三音であるド#という、とても優しい音色から始まり、三拍子を刻みつつ進み、5小節目で盛り上がり、再び主和音に落ち着く。この曲では要所要所に、長調のIV→短調のIV→長調のIという、特殊なアーメン終止が用いられている。非常に深みのある「アーメン」に聞える。

Bセクションではホ長調、ホ短調と転調した後、ホ短調の5度上のロ短調、そしてそのまた5度上の嬰へ短調まで転調を繰り返し、それに伴って緊張感、高揚感も強まってゆく。非常に興味深いことは、最も気持ちが高まった嬰へ短調の主和音に行きついた瞬間に、ピアニッシモの指示が記されていることである。感情が最も高ぶった瞬間に、ぐっと抑える。まさにこれこそ、キリストの母、マリアの敬虔な生涯を描いているように感じられる。

嬰ハ短調の主和音とともにBセクションが終わり、A’再現部では、冒頭のメロディに流れるような八分音符のオスティナートが加わる。まるでマリアがうたう「讃歌」のようである。最後は主和音を4回、静かに連打して終わる。曲の終わりはアーメン終止ではないが、この四分音符の4連打は、まるで「アーメン」そのもののように聞こえる。

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