声リーディングはどういうふうに行っているのか+リーディングを受けた感想3

声を録音して送ってもらう時、私は届いた録音をすぐには聞きません。
最初に聞いた時の印象を、とても大切にしているからです。ですから、声リーディングのために充分な時間が取れる時、体も心も調子が良く、落ち着いている時、そして周りが静かな時間を選んで、声を聴きます。聴いている時は、ただ声だけに集中します。
一回聴いたら、少しの間、何も考えず、余韻に浸ります。すると、風が吹いてくるように、イメージや色や温かさや雰囲気が、どこかからやって来ます。それを言葉にし、詩のかたちに仕上げます。
この作業は休みを入れずに行います。

余韻の中から立ち上がって来るイメージや感覚のことを、アントロポゾフィー(人智学)の言葉で「Nachbild」と呼びます。日本語では「残像」と言うようです。心の耳を傾けて相手の声を聴くと、声に現れる相手の魂の姿が、私の心に残ります。その残像が詩の素材となります。

では、今日もお一人の方への詩と、感想をご紹介します。

Cさん 女性 50代
私が書き送った詩

わたしのもとへやって来てくれた
すべての人たち
わたしの周りで起こった
すべてのこと
どれも
愛おしい

こらえた涙も
描くことが許されなかった夢も
握りしめて
わたしは
たくさん
たくさんの命を
育んで来た

温かさと力を
惜しみなく注いで

今
ずっと握りしめて来た
少女のわたしが
羽ばたこうとしている

固まった羽が
少しずつほどけて
大きく
もっと大きく
羽ばたこうとしている

力いっぱい
飛んでいいんだよ
大空をどこまでも
旅していいんだよ

きっと
びっくりするくらい
高く遠く
飛べるよ
その確かな力を
今まで
育んで来たのだから
Photo by Lucas Ludwig on Unsplash

感想

なんて優しくて、救われる言葉なんだろう……
それが初めに読ませていただいた時の気持ちです。 さくらさん、ありがとう。
いろんなことを否定されて、「おまえが男だったら」と言われて来た心の傷を、傷だと思い続けて来た自分を手放す時だよって言ってもらえた、 それが読み終えた時の気持ちです。
私自身ですらうまく声に出せなかった気持ちを詩にしてもらえた、というのが率直な感想です。

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