くどうさくら 詩

詩「心が回復する時」-秀作を賜りました-

夢を見ました 月明かりが ぼんやりと白く照らす 細道を 樹の根と岩につまずきながら 一歩、また一歩 登っていました ほんのわずかでも 気をゆるめたら 左側の崖に 呑みこまれてゆくでしょう 風が来るたびに 枝をゆすり いっせいにざわめく 黒い...
くどうさくら 詩

さびしいとつぶやいてみても

さびしいと つぶやいてみても   それがやっとの思いで くちびるから出した 一言であっても   あなたの声を聞いてくれる 耳はなかった   そばに来て あなたの手をにぎってくれる 手はなかった 空のうえから わたしはいつも そんなあなたを ...
くどうさくら 詩

詩という名の蛇

我が友蛇よ なぜおまえはよりによって わたしのところへ来た わたしは おまえに胸を締めつけられ すっかりおかしくなった まくしたてるひとびとの声が 届かなくなった 耳 声なきものの つぶやきばかり拾う 耳 空っぽの言葉を 吐き出せなくなった...
くどうさくら 詩

あさひの中へ

あさひの中へ出てゆくとき 気づく わたし生きてる うなじをくすぐる風の手が ささやく 軽やかに生きているよと あさひの中を歩いてゆくとき 感じる わたし進んでる 足に伝わる地面の堅さが ほほえむ しっかりと進んでいるよと あさひが高く昇って...
くどうさくら 詩

雲の舞

ジャスミンの香りを 夜風が運ぶ   おおきな明るい月の上で 雲が舞う 羽化したばかりの 蝶のように 薄くやわらかな羽を おそるおそる動かして   水の匂いがする 小粒の雨が 家々の屋根を 静かに叩きはじめる   月の光にまもられて 少し濃く...
くどうさくら 詩

ことばの叫び

お願い わたしを 踏みつぶさないで 踏みつぶして 殺さないで 骨を 砕かないで 砕いて まき散らさないで まき散らされた骨の破片は もう わたしではない それでも 辛い 脅しや さげすみ 陰謀や 略奪 偽善や 自己誇示のために 散布され 砂...