楽曲分析:ブルグミュラー12番「別れ」

再び楽曲分析です。前回もお断りしましたが、楽曲分析はまだ初心者ですので、あくまでも参考までにお読みくださいm(__)m

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この曲には「Allegro molto agitato」という指示が書かれている。agitatoは「興奮して」「苛立って」などの意味があるが、少々苛立つような感覚を、この曲は感じさせる。唐突にやって来て、冷酷にすべてを奪い去ってゆく、そんな「別れ」を描いたものと思われる。

楽曲は四分の四拍子で主調はイ短調。前奏とコーダのあるA, B, A’から成る三部形式である。Bセクションでは平行調のハ長調に転調している。
前奏は4小節間で、アウフタクトで始まる下降形のパッセージが二度繰り返され、三度目にはオクターヴ上まで飛躍して一気に降りてくる。前奏の和声進行は、大きく捉えるとIV-I-Vである。メロディ和声ともに、別れの予感のような不安を感じさせる。それに続くAセクションでは、右手が八分音符三連符が続く速い動きを奏で、左手の動きは、メロディをなぞるように進む。注目すべきことは、すべてのフレーズの始まりが小節の第一拍目ではなく、第二拍目もしくは第三泊目であることだ。何者かに追われているような切迫感を感じさせる。この旋律は7小節間続き、8小節目で高音のミまで上行し、9小節目で四分音符となって2オクターヴ下へと飛躍し、動きをゆるめる。続く2小節間では、まっすぐにオクターヴを駆け下りて来るパッセージが、二度繰り返される。それまでの動きが、何かから逃げて走っている様子だとするならば、この二回の下降形は、容赦なく吹きつける嵐のようだ。(楽譜上に☆印で示した。)


Bセクションに入り、8小節間、束の間の楽しい時が流れるかのように、ハ長調の明るいメロディを右手がうたい、左手が八分音符三連符で伴奏をする。P(ピアノ)で、espressivo「表情豊かに」と指示が記されている。明るい雰囲気ではあるものの、フレーズはAセクションと同じように、何かから必死に逃げているか、もしくは過ぎてゆく時を必死につなぎとめておこうとするかのように聞こえる。曲が盛り上がり、頂点に達した後は、まるで木から葉が落ちるように下降する。この部分では、ハ短調からの借用和音とともに、メロディにも♭の臨時記号が使われ、木の葉が無抵抗に落下してゆく様子を彷彿とさせる。

Aの再現部がその後に続き、先ほど言及した二回にわたるまっすぐな下降形のフレーズが走り抜け、天に消えてゆくかのような上行形の短いパッセージとともに再現部が終わる。コーダでは、この短いパッセージがオクターヴ上で、下で、数回繰り返され、イ短調の主和音により毅然と曲は終わる。

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