くどうさくら 詩

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悲しみよ

ずっと なにかを我慢しているような 気がしていた でも なにを我慢しているのか 分からなかったので なにも我慢していないことにして 過ぎゆく日々を 追いかけていた ある日 とつぜん辺りの空気が ゼリーのごとく 固まってしまった 必死で...
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詩「できないんだ」

ある日 とうとうしびれをきらして わたしは彼に言った …… あなたは どうしてもう少し 大人になれないの あの人はきらいだの あいつはぼくをバカにしているだの やつらはクズだの そういうことは思っても 口に出すものではないでしょう...
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詩「心が回復する時」-秀作を賜りました-

夢を見ました 月明かりが ぼんやりと白く照らす 細道を 樹の根と岩につまずきながら 一歩、また一歩 登っていました ほんのわずかでも 気をゆるめたら 左側の崖に 呑みこまれてゆくでしょう 風が来るたびに 枝をゆすり いっせいにざわ...
くどうさくら 詩

さびしいとつぶやいてみても

さびしいと つぶやいてみても   それがやっとの思いで くちびるから出した 一言であっても   あなたの声を聞いてくれる 耳はなかった   そばに来て あなたの手をにぎってくれる 手はなかった 空のうえから わたしはいつも そんなあなた...
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詩という名の蛇

我が友蛇よ なぜおまえはよりによって わたしのところへ来た わたしは おまえに胸を締めつけられ すっかりおかしくなった まくしたてるひとびとの声が 届かなくなった 耳 声なきものの つぶやきばかり拾う 耳 空っぽの言葉を 吐き出せ...
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「こんにゃろうこんにゃくめ」-言葉あそびの詩-

こんにゃろう こんにゃくめ おれはおまえが きらいだ にてもやいてもこがしても きらいなものは きらいだ なくな、こんにゃく なやむな、こんにゃく おまえはおまえのままで いい かんにゃくにも きんにゃくにも ならなくて いい も...
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あさひの中へ

あさひの中へ出てゆくとき 気づく わたし生きてる うなじをくすぐる風の手が ささやく 軽やかに生きているよと あさひの中を歩いてゆくとき 感じる わたし進んでる 足に伝わる地面の堅さが ほほえむ しっかりと進んでいるよと あさひが高く...
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雲の舞

ジャスミンの香りを 夜風が運ぶ   おおきな明るい月の上で 雲が舞う 羽化したばかりの 蝶のように 薄くやわらかな羽を おそるおそる動かして   水の匂いがする 小粒の雨が 家々の屋根を 静かに叩きはじめる   月の光にまもられて 少し濃...
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ことばの叫び

お願い わたしを 踏みつぶさないで 踏みつぶして 殺さないで 骨を 砕かないで 砕いて まき散らさないで まき散らされた骨の破片は もう わたしではない それでも 辛い 脅しや さげすみ 陰謀や 略奪 偽善や 自己誇示のために...
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もし今日が花だとしたら

もし今日が のぼってくる朝日とともに咲き しずんでゆく夕日とともに散る 一輪の花だとしたら もし今日が 昨日のつづきではなく 夜の間にふくらんで 明け方にほんのりと色づく つぼみの中に抱かれた 一輪の花だとしたら 日の光を浴...
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