ライアー演奏のライブ配信に成功するまでの話+ライアー演奏ワンポイント動画

先月始めた毎週日曜日のライアー演奏ライブ配信、試行錯誤の末、ようやく私の耳によるキビシイ判定基準で、許せるレベルの音質に辿り着きました。ライアーの音色は独特です。生演奏の音を忠実に再現すればよいというものではありません。

昨年、スタジオでプロの録音エンジニアさんに収録していただいた音源を、アルバム「Silent Winter Night」として販売しています。確かに「ライアー」という楽器の音を忠実に伝えているという意味では、最高レベルだと思います。ただ、私も含めてこの音源を「冷たい」と感じた人が一定数いました。むしろ、多少ノイズが入っていても私の部屋で録音した音源の方が温かみがあると。

ライアーの響きは「その場の空気」と一緒に出来上がります。演奏者や聴いている人たちの息づかい、といったような実際には「聞こえていない音」も含めて。

演奏録音に関しては、XYコンデンサーマイクを騎乗したビデオカメラによる近距離での収録で、生演奏の音色と空気感、温かみを温存して収録し、YouTube等にアップすることに成功しました。しかし、今回ライブ配信に挑戦してみて分かったことは、「ライブ配信にはまったくちがう考え方が必要だ」ということでした。

それは、リアルタイムで音を認識し、信号に変換し、再び音として再生してくれるシステム(エンコーダソフトウェアと呼ばれるもの)と配信するサイト側のスペックです。いくら良いマイクで録音しても、エンコーダソフトとの相性が合わなかったり、配信するサイトのスペックが低いと、大変に聴きずらいライブ配信になってしまいます。試行錯誤の途中では、こういうライブもありました。それでも、天使のような心を持ったコミュニティメンバーの皆さんは喜んでくださり、音質改善のための貴重なフィードバックをくださいました。本当に何度頭を下げても足りないほど感謝の気持ちでいっぱいです。

結局辿り着いたのが、iPhoneで収録し、vimeoという配信サイトのライブ配信サービスを使って配信する方法でした。はい。これを機会にスマホからiPhoneに乗り換えました。iPhoneの内臓マイクと楽器の距離を1.5mほど離し、周りの空気も一緒に録音し、そのままvimeo専用のアプリで自動音声処理をしてもらい、配信をする。それをFacebookのコミュニティメンバー専用のグループページ埋め込む、というやり方に落ち着きました。

iPhoneへの乗り換えもさながら、vimeoのライブ配信サービスにはコストがかかります。FacebooライブやYouTube、ツイキャスをはじめ、いくつもの無料ライブ配信サイトを試しました。しかし、やはり音声ビットレート320kbps 48khzをサポートするviimeoにはかないませんでした。何がちがうのか?

それは、空気の中から響きを拾い出すAI機能がとてもお利口さんであることです。私の耳は、「あ、今コンプレッサー(音割れ防止機能)がかかったな」とか、「今、話し声からライアーの音に焦点が切り替わったな」など、音源を聴いてみると、音質の微妙な変化でAIのしてくれていることがある程度聞き取れるのです。vimeoのAIは他の配信サイトに比べて、この作業がきめ細かいので、マイクと楽器の距離を離しても音が小さくなることなく、微細な音楽表現もちゃんと拾ってくれます。ですから、可能な音楽表現の幅がぐっと広がります。

そして一番大切なこと。それは、聴く側がどんなデバイス(パソコンやスマホやタブレット等)で聴いても、ひどく音質が落ちることがない、というところです。はっきり言ってしまうと、スペックの良いパソコンで聴けば、どんなマイクで収録し、どのサイトから配信した音でも、ある程度良い音質で聞こえるのです。でも、私が目指しているのは、どんな場所で、どんな媒体で聴いている人にも出来る限り質の良い音を届けること。「配信」という形で届ける音楽療法だからこそ、ここは譲れない部分です。vimeo配信を決意したのは、将来を見据えてのことでした。

もちろん、私は今の段階で満足しているわけではありません。その場で演奏しているような、身体に響いてくるあたたかいライアーの響き。「配信」という形で、いかにそれに近いものを届けられるか。viimeoは現時点で個人が使うことの出来るライブ配信サービスの中では最高の部類に入ると思います。でも、ライブ配信の技術は日進月歩で改善が重ねられています。10年後には、今とはまったくちがう視聴体験が、日常的に出来るようになっていることでしょう。

ライブ配信の一コマ

もう一つ、10月から始めたことがあります。毎週一回、コミュニティメンバーの皆さんにライアー演奏ワンポイント動画をお届けしています。皆さんからの質問やリクエストにいいもお答えしてゆきたいと思っています。コミュニティの詳細は下の写真より☆

コメント

タイトルとURLをコピーしました